先ずはカメラを購入(2014年6月)
星グル写真とは北極星を中心とした星の円周運動の写真です。星景写真(せいけいしゃしん)とは星空と風景が一緒に写っている写真です。まあ細かく言えばこんな事ですがカメラを夜空に向けてシャッターを切るのは同じです(^_-)-☆ とは言え今持っているカシオのコンデジではセンサーサイズが小さくてダメでしょう。カメラのセンサーサイズで比べると、一眼レフ>APS-C>マイクロフォーサイズ>コンデジとなります。いろいろ調べてGANREFと言う写真サイト で星グルを撮影しているjagar39さんの記事を見つけました。星景写真もあり説明が丁寧なのでこの方の使用しているEOSM(APS-C)を購入しました(単純だな~)。発売後2年を経過しており値段もこなれてレンズ付きで4万円代で購入出来ました(^^♪
最初の一枚は奥穂高岳から(2014年7月29日)
この時は夜行バスで上高地に入りその日に奥穂山荘のテント場(赤矢印)まで登りました。上高地から10時間かかりました。翌日は奥穂高岳に登り吊り尾根から岳沢を下り上高地に戻る久々の縦走です。天気に恵まれ気分は爽快でしたがザック(テント+食糧+カメラ+三脚)が重く体はバテバテでした。手前の黄色のモンベルが私のテントです。2人用なので広くて使い易いのですがその分重い。テント場に到着したのが午後4時頃で撮影に適した場所なぞ選ぶ余裕は無く辛うじて空いていた所に設営です。
自宅や近所で3,4回練習して撮影にのぞみました。現地はテント場の目の前に尾根があり円周運動の全体は撮れませんでした。ま~あ、これは行って見なければ分かりません。撮影は1枚を露出6秒で撮りすぐに次の6秒の1枚を撮るという連続撮影です。連続撮影はカメラを設定すれば勝手に行ってくれますが、テント場ですから他の方のヘッドランプが入ったりするので結構長時間撮影する必要があります。これはそうした撮影から上手く撮れた連続する298枚をパソコンでソフトを使い星を繋げて1枚に仕上げています。最初にしては上手くできたかな?左下の方に流れ星が写っていました。
撮影はおおむね22時以降としています。理由の一番は飛行機の航跡が多数写り込むのを避けるためです。航跡を消すには写真一枚一枚から飛行機の赤いテールランプ?を除去するので非常に時間のかかる作業となります。
翌日に登った奥穂高岳より見る槍ヶ岳が素晴らしかったですね。この景色を見たくて登って来たのですから今日の天気に感謝!感謝!です。北アルプスの景色はやはり槍に尽きます。
みやま山荘に降る星々(2015年2月10日)
雪の丹沢を縦走しました。ヤビツ峠から入り表尾根で霧氷や煌めく相模湾を見たりと道草をして、小屋に着く前に富士山の肩に太陽が沈んでしまいました。本当に素晴らしい眺めですが小屋のスタッフの方から「早く着かなきゃだめだよ!夜はヘリコプターは飛べないのだから!」の一言がありました。すみません・・・・今日の宿泊者は全部で8名と少なく寝場所も出入口近くでした。驚いた事に他の7名の方々もカメラと三脚をもって登って来て星空の撮影をするとの事でした。快晴・無風と言う絶好の気象条件でしたが街灯かり(神奈川・東京)が予想以上に強く7名の方々は早々に星を諦め翌日に赤富士を狙うと話していました。私は小屋の消灯後、街灯かりの少なくなる23時まで粘りどうにか形になりました。山荘の窓に部屋の明かりが写り込み星景写真としてはONの字でしょう。
明るいの場合の対策として1枚の露出時間を短くするかISO感度を下げるかの選択があります。露出時間を短くすると同じ長さの星の軌跡を撮るのに枚数が多くなるのでISO感度を下げて撮影しました。
2019年2月7日に同じくみやま山荘の前からオリオン座を撮影したものです。やはり街灯かりが強くうまい具合に星が写りません。みやま山荘は今後も宿泊したい素晴らしい小屋なので撮影の腕を磨く必要がありますね。
眠い目をこすって日の出の撮影です。木々の間から昇る太陽が今日の好天を約束してくれます。
蛭ヶ岳に向かう縦走路で、西丹沢の山々の向こうに綺麗な富士山が見えました。いつ見てもどこから見ても富士山は素晴らしいですね。
EOSMにはレリーズロックの機能が無いので物理的にシャッターを押し続ける様に改良しました。そうしないと連続撮影ができません。レンズに巻いてある赤いバンドは結露防止用のヒーターです。ネットで見つけたニクロム線ヒーターを使い易いように細工しました。シャベルは三脚固定用の雪集めに使いました。
会津駒ヶ岳(2015年7月11日)
尾瀬観光協会が出している「尾瀬檜枝岐温泉」のパンフレットに会津駒ヶ岳を「天上の楽園」と表現していました。山頂の駒の大池と高山植物の群落もさることながら駒の小屋から見る満天の星空は感動ものとの事です。そうと知ったら今年の夏は会津駒ヶ岳へ!雪の残る駒の大池から会津駒ヶ岳(左手のなだらかなピーク)と中門岳(右はじの平らな山)を望みます。ゆったりとした中門岳の山頂です。池の周辺にはハクサンコザクラの群落が点在しています。まさに寛ぎと癒しの空間です。
この日は地平線近くに薄雲がかかる天気で心配でしたが案外上手く写っていました。檜枝岐の街灯かりから天上に向かって広がる星を撮れて大満足です。
星の強弱を現わすのにソフトフィルターを使用しました。これを使用すると輝いている星は適度に滲んで大きく見えます。星座を写す時には非常に効果があります。星景の撮影にはケンコーのプロソフトンAを愛用しています。
何回か星空を撮影して付属の標準レンズ(22mm)では物足りないので広角レンズ(12mm)を購入しました。更に三脚は撮影場所を上手く選べば小さくても何とかなるのでベルボンのミニ三脚に変えました。800g→430gとかなりの軽量化が計れたので荷物の多い時は重宝します。
白馬岳(2016年8月5日)
昨日は栂池ロープウェイを使い標高を稼ぎました。その後、天狗原・乗鞍岳と歩き白馬大池山荘に泊りました。今日は小蓮華山を越えて白馬岳に向かいます。写真は船越ノ頭から小蓮華山に向かう素晴らしい稜線です。「坂の上の雲」のエンドロールにも登場した絶景です。白馬岳山荘のスカイプラザで食べたマロンケーキセットは美味しかったですね。山でこんな贅沢をしたのは初めてです。この後、コンパスを片手に星空の撮影場所を探しにでかけました。
左手のオレンジの明るみは時々見える雷光です。右手の大きな明るみは高山市でしょう。正面・左のピラミッド型の山が剣岳かな?右下には今日の宿「白馬山荘」の灯かりが写っています。やはりこの景色は広角レンズで無ければ捉えられません。サムヤンのレンズを購入して大正解でした。
縦走路を避けて白馬岳の山頂下から撮影です。風も無く暖かい夜なので星空撮影を十分楽しめました。星グルとはよく言ったものでジッと見ているとこちらの方が目を回しそうです。
上の写真は星グルの撮影後に同じ場所で白馬岳をISO:3200、露出:30秒で撮影した写真を合成したものです。具体的には白馬岳の写真の空の部分を黒く塗りつぶして比較明合成した星グル写真と合成しました。作業はWindows付属のPaintで行ったのでかなり時間がかかりました。
初めての白馬岳は天気にも恵まれ素晴らしい山行となりました。軽アイゼンを着けて姉に続いて大雪渓を下ります。これを下り切ると山歩きも終わり都会に戻ります。一抹の寂しさを感じる時でもあります。
蝶ヶ岳(2017年1月1日)
写真でしか見た事のない雪の槍・穂高連峰をこの目で見たくて冬の蝶ヶ岳に行きました。36年前の年末に登ってますが近年は2014年1月、2016年1月と続けて敗退しています。今回は雪が少ない事もあり横尾から樹林帯を突破して稜線に上がれました。振り向けば素晴らしい展望が待っていました!これが冬山登山の醍醐味ですね!入山日は横尾山荘の前にテントを張りました。今日は蝶ヶ岳ヒュッテの冬期小屋に泊まらせて貰います。山頂より見る雪に映えるヒュッテの赤い屋根は心強いです。月齢表によれば1月1日は新月後の三日月が20時頃に沈みます。このままの天気が続いてくれれば念願の写真が撮れそうです。
「月明りに照らされる槍・穂高」撮りたかった一枚です。月明かりの下で撮影するのは初めてなので露出とISOを変更して何枚も撮影しました。これは稜線がくっきりと写っていた1枚です。キレットから槍までが素晴らしいので元の画像を拡大しています。
「槍・穂高に降る星々」念願の写真です。星の軌跡がどう写るか自宅に戻ってPCで合成するまで心配でした。星の軌跡は槍の上は円弧で穂高では直線となりぶれも無く思った以上の1枚となりました。風の中ピッケルで凍った雪から石を掻き出し必死に三脚を固定した苦労が報われました。しかしシャッターを押す指先が痺れる寒さでした。
合成の手法は白馬岳と同じで穂高連峰をISO:3200、露出30秒で撮影しました。白馬岳の星グルは星が写り過ぎているのでISOの感度を下げて小さな星が写らない様にしました。撮影時間が早かったので稜線近くは飛行機の航跡が多く処理の跡が残ってしまいました(>_<)
翌朝は雲が多く日の出の太陽は見れませんでしたが朝焼けの富士山を見れました。釜トンネルから上高地を通り延々と歩き樹林帯の急勾配を登った苦労が吹き飛ぶ感動の一瞬です!
立山(2017年7月19日)
昨日は雨の中を室堂から剱御前小舎まで登りました。途中で雷鳥に出会うという幸運もありましたが大変でした。それが今日は朝から嘘のような快晴です。別山南峰への登りより見る真砂岳~富士ノ折立~大汝山~雄山(写真中央の岩稜の山々)へと続く素晴らしい縦走路です。立山連峰の縦走を終えて「みくりが池温泉」に宿泊します。ここの食事は最高でした。夜中は雲も無く満天の星空と南から延びる天の川を撮影できました。左手の灯かりは今日下山してきた一の越山荘と立山室堂山荘です。PCを新しくしたのでRAW画像を編集できるようになりました。天の川と星の輝きの微妙な表現ができたこの一枚は私のお気に入りです。
真砂岳から月が昇ります。これも素敵な光景です。夜中の3時まで粘った甲斐がありました。しかしレタッチによる画像の荒れが酷くもっと場数を踏まなければ月の写真は駄目ですね(>_<)
3日目に室堂で探し回りやっと見つけたクロユリです。嬉しかったですね。初めて見ましたが形も花の色も素晴らしい!気品がありますね。この後は関電トンネルを通り黒四ダムを見て家路につきました。
まとめ
【撮影機材】カメラ:EOSM(ブログ写真ならAPS-Cサイズの機種で十分)レンズ:サムヤン12mm、f2.0、255g、フィルターサイズ67mm、¥38,000(何より軽くて明るい更に価格も手ごろです)ソフトフイルター:ケンコープロソフトンA(星の滲みの強いソフトンBもあります。この辺は好みですね)
【ソフト】比較明合成ソフト:シリウスコンプ(フリーソフトですが非常に使い易く動作も安定しています)写真管理・画像編集ソフト:Googleの開発したピカサ、キャノンカメラに付属していたDPP(無料です。RAW画像の場合はそれぞれのカメラに付属しているソフトが良いでしょう)
【星グルの撮影設定】ピクチャースタイル:ニュートラル(PC処理に適している) 撮影画像:JPEG画像 露出:6秒~8秒(撮影途中で明かりが入ってその写真が使えなくなった時に星の航跡が切れない範囲)絞り:F2.0~3.5 ISO: 800~3200(これ以上感度を上げるとざらつきます)WB:白熱電球 撮影時間:60分~90分(ともかく明かりが入ったり知らずに三脚が動いたりと何が起こるか分からないので多めに撮っておきます)
【星景写真の撮影設定】ピクチャースタイル:星グルと同じ 撮影画像:JPEGあるいはRAW画像 露出:20秒~30秒(これ以上長くすると星が楕円になります)絞り:F2.0~3.5(なるべく小さなF値で撮影しISO感度を下げるのが良いです) ISO:1600~3200 WB:白熱電球