1,750mで撤退した常念岳東尾根(2018年12月31日~2019年1月1日)

【12月31日(月)】JR豊科駅・タクシー→林道ゲート7:10→大平原9:30→林道終点10:10→14:00幕営地
【1月1日(火)】幕営地9:30→林道終点10:40→送電線鉄塔12:10→13:40林道ゲート・タクシー→JR豊科駅

JR豊科駅~林道ゲート~大平原~幕営地

今日は登山前にゆっくりと松本城の見学です。天気も良く素晴らしい景色を見ることができました。松屋の牛めしで栄養をつけて松本駅前のビジネスホテルにチェックインします。

翌朝、JR大糸線で豊科駅に向かう車窓からの朝焼けです。思わず席を立って写真を撮った心弾む景色です。これが電車で移動の良い所ですね。

豊科駅からタクシーで林道ゲートに向かいます。前方の山が赤く染まっているので停めてもらいました。幸運にも常念岳(左)と横通岳(右)のモルゲンロートを見れました。幸先の良いスタートです。

振り返れば美ヶ原の方向もまだ朝焼けが残っていました。タクシーの運転手さんに感謝です。

ゲート手前に7、8台の車がありましたが誰もいませんでした。すでに皆さん出発したのでしょう。南安タクシーの運転手さんの「私が色々言えるのもここ迄ですから後は気をつけて行ってください」の言葉は心に残りました。気を引き締めてゲートを通過します。

歩きだして直ぐに中央に前常念岳と手前右手に今日の目的地1,955mピークです。いずれも立派なピラミッド型をしています。

予定していた東尾根への取付き地点は雪がなく、尾根の藪漕ぎが嫌なので林道終点を目指します。前方に見えるのは蝶槍から続く2,592mピークかな❓素晴らしい稜線を見ることができました。

地図上で林道の分岐点にある[大平原]は「だいへいげん」でなく「おおだいらはら」と読むそうです。現地を見て何となく納得しました。

林道終点の少し手前で左側の登山道に入ります。雪は少なくくるぶし位なので予定通り登れそうです。

少し登ると前常念岳が見える絶景ポイントがありました。これは期待して無かっただけに望外の喜びです。

ここまで3時間の林道歩きでしたが足の疲れを忘れさせる素晴らしい景色です‼尾根道より距離が長く時間も掛かりますがこの展望に会えれば文句はありません。

すぐに常念岳東尾根に取り付きます。事前の情報通りこの辺りは笹が刈り払われており歩きやすい登山道です。

さらに登った所で降りてきた若者が「この先は酷い藪漕ぎで、それを越えると踏み抜き地獄でした。夜中に出て8時間登りましたが森林限界に行けなかったので諦めます」と言って下山して行きました。日帰りの軽装備でもダメだったのかと少し不安になりました。

「まあ~経験してみます」と言って若者と別れ、樹林の間からの展望を楽しむ暇もなく藪漕ぎに突入です。正面も右手も左手も笹藪です。雪が少なく笹が大きく飛び出ているので先行者達の踏み跡は見えません。遠くのピンクテープを目印に強引に登るだけです。

1時間半ほど格闘してやっと平地に到着です。いや~疲れました。冬山装備でこれだけの時間を藪漕ぎしたのは初めての経験です。ここで昨日から窪地にテントを張っておられるhiguti氏にお会いしました。氏によると「この上も2,000m地点まで同じように藪が続いていますよ」と聞いて意気消沈です。

GPSで見るとまだ標高1,750mで予定地点まで200m足りませんが気力・体力とも限界です。時刻も午後2時を過ぎているので、少し登った笹藪の上にテントを設営することにしました。風が出ると吹き曝しでちょっとヤバイですが他に張れそうな場所はありません。

夕食を終えるとすぐに日没です。higuti氏のテントと安曇野の街明かりが下に見えます。手振れが酷くてm(__)m。今日の東尾根には森林限界で幕営していた2名のパーティー(翌朝7時頃に下山してきました)とこの場所の2名の4名だけです。静かな年の瀬をすごします。

幕営地~送電鉄塔~林道ゲート

2019年元旦の朝焼けの始まりです。日の出前のこの静寂の時間は何度経験しても良いものです。しばらく見ていると太陽は右手の樹林の方から出るみたいです。

出ました‼樹林のわずかな隙間からでも初日の出は特別です‼

振り向けば前常念岳も徐々に染まり

素晴らしいモルゲンロートを見れた感動の朝でした‼これだから登山はやめられないですね。次は森林限界で大展望を見ると心に刻みました。

蝶ヶ岳も少しだけモルゲンに染まっていました。

私もhiguti氏も寒さを忘れ撮影に余念がありませんでした。しかし天気が良いのは午前中だけとの予報となり、登っても展望は期待できないので下山(撤退?)することに決めました。higuti氏も今日下山するとの事でお互いのテントに分れました。

餅、みかん、お汁粉と、豪華な❓朝食で正月気分を味わいます。みかんはガチガチに凍っていて食べるのに苦労しました。お汁粉は美味しかったですね。

笹の上に少し雪が被っただけのベッドでしたが一晩崩れなかった事に感謝です。

今日は朝から藪漕ぎに突入です。ピンクテープの目印を目標に尾根を外さない様に下ります。呆気なく30分ほどで通過しました。藪を抜けると昨日歩いた一般的な登山道になります。

軽快に歩いていたら1,170m地点で道を間違えGPSの世話になりました。戻って見ると下りてきた登山道から左に入るテープ(白、ピンク)がたくさんありました。鉄塔前の子供みたいな笹薮を抜けて鉄塔で小休止して自宅にメールをいれました。その後すぐに林道にでました。

林道ゲートからタクシーで豊科駅に到着です。なんと運転手さんは昨日と同じ方でお互いびっくりしました。無事の下山をにこやかに迎えてくれて嬉しかったですね。目標の森林限界には到達できませんでしたがモルゲンロートの前常念岳を見れた素晴らしい尾根でした。

♪ 幕営地で ♪
常念岳東尾根の森林限界を超えた所から見る前常念岳と常念岳の絶景を目指して林道ゲートを出発しました。しかし藪漕ぎに時間と体力を消耗して2,000mの予定地点まで到達できませんでした。笹薮を越えた所で悠然と手袋を木に干しているhiguti氏にお会いしました。幕営2日目で空身で森林限界近くまで登ったそうですが「やはりこの尾根は笹に雪が被る2、3月が良いのでは」との話でした。氏は山岳会OBの方で今は「山女子クラブ」と言う会でツアーガイドも行っている山への造詣のふかい方でした。それでも初日の出の撮影では2人であっちから出る、あと少しだと騒いでいたのは愛嬌ですね。